旬の歳時記  カツ丼

食べ歩き ,

かつ丼が出されたら、最初の三口は脇目も振らず、掻き込もう。

一息ついたら、丼の底に意識を集中し、一気呵成に駆け抜ける。

その間、衣を修繕し掘削したご飯の断面から、ダシの染み込み具合を確認する。

背筋は伸ばし、少々ひじを張ると姿がいい。

もちろん終止無言。カツ丼の似合う男はカッコイイ。

目ざすは、「幸せの黄色いハンカチ」の刑務所帰りの高倉健。

そんな男になるべく、ぼくは日々カツ丼を食べ、男を磨いている。