旬の歳時記  グリンピース

食べ歩き ,

それは突き出しの小鉢だった。

若緑色のグリンピースが、微かに薄茶を帯びた出汁に浸かっている。

一粒二粒。

食べて言葉を失った。

豆が生きている。

出汁は静かに豆を支え、莢から弾けたばかりの青々しい香りが胸を清め、みずみずしい甘味が優しく舌を包む。

茹でた豆なのにどうして。

この先これ以上のグリンピース料理には出会えないかと思うと、絶望的にすらなった。

かつて京都にあった「南一」での出来事である。