愛媛県  伯方島「あか吉」

恋に落ちる魚

食べ歩き ,

恋に落ちる魚が、ここにはある。
珍しい魚や、いつも食べている魚もあるが、どの魚を食べても体に秘めた凛々しさと純真さに、そして放たれるさまざまな香りに酔い、惚れてしまう。
ここの魚たちは、なんと純情なのだろう。
切ない色気を醸すのだろう。
心を焦らされ、食べ終わった瞬間からまた会いたくなる。
それは、漁師藤本氏とご主人赤瀬さんが20年間にわたって試行錯誤を続けてきた結晶である。
握り
★鯛
春の香りから次第に品のある甘味が穏やかに広がっていく。味に包容力があって、心がほぐれる。
★キス
キスの赤ちゃんを2枚重ねて厚みを出し握る。繊細な甘みに切なくなる。
★おじさん
ヒメジ。さわやかな香りが最後に抜けていく。なんでも甘けりゃというわけではない。この魚には、あっさりという意味がある。
★マナガツオ
変わらずたまらない。柔らかいが噛みしだくような食感。奥底に脂の色気が滲んで誘惑して去っていく
★かます
なんという味だろう。かますという概念が変わる。ねっとりとした甘み 脂の太さ。余韻の長さ。カマスとはこんなふくよかな味だったのか。素晴らしい!!
★カワハギ
サクッとした食感、雑味が微塵もない、肝の味が、どこまでも美しい。そしてその後から身の甘みが訪れる
★エボダイ
あのあっさりとした味の奥には、こんなにもエレガントな香りと甘味が潜んでいたのか!! 飲み込む前に味と香りが群と膨らんで引き込まれる。
★スミイカ
噛むことを試すようにググッと歯が入る。最後の最後に気品ある甘みがじわりと顔を出し、どきりとさせられる。
★モンゴイカ、雷イカ。
歯切れ良く、ジトッと広がる甘み。庶民的な甘み
★名古屋ふぐ
シコシコと噛んでいくうちにうまみが上がっていく。
★アジ
アスリート!!軽いサクッとした食感、肉体を噛みしだくような歯応え。雑味ないきれいな味で、爽やかな香り、最後に脂の甘みが滲み出る
★天竺ダイ
ふんわりとして白エビに似た甘味を持つが、この小さい体なのに、その甘みがどんどん湧き出る。
★えび
半生。