左鹿、右牛。
コンソメである。
ここにトリュフを削り落とす。
見た目は、炭かゴミが混入したコニャックのようだが、顔を近づけるといやらしい。
唇をつけると、淫らな香りが鼻腔をざわざわと刺激する。
牛のコンソメは、深さの中に品があり、その上品さをちらりとエッチにして、手招きする。
鹿のコンソメは、澄んだ味わいの中に野生の香りが潜んでいて、そこに隠微がのっかるのだから、これはもう官能をぐだぐだにするのだな。
どちらが合うかは好みの問題。
いやどういう人生を、どんな恋愛をしてきたかが問われる問題か。
マルゴットにて。