山椒が菓子になるとは思わなかった

食べ歩き ,

山椒が菓子になるとは思わなかった。
「八雲茶寮」の菓子は、未知の喜びを運んでくる
山椒きんとんは、柔らかい甘さの影から山椒の刺激の香りが立ち上がって、一瞬ドキリとする。
しかしすぐに口は、その甘さと刺激の出会いを求めだす。
この喜びは、笑いであり、明日である。
人生におけるユーモアであり、不可欠なな一滴である。
ああおいしい。一緒に食べた娘の口からも思わず言葉が漏れた。
橙のゼリーの甘酸味と白インゲン豆餡の優しい甘みを合わせた、夏橙。
枝豆の豆の香りがきちんと立ち上がる、づんだ。
これ以上柔らかくしてはいけない。そのことを胸に刻みながら炊かれた塩豆と、堅めの餅が、絶妙な食感を生み出す、凛々しい豆大福。
薯蕷に込められた青梅の酸味が、胸をチクリと刺して笑みを生む、青梅薯蕷。
ふふふ。
和菓子に刺されたぜい。