寛容の力。

シメご飯 , 食べ歩き ,

また福井で飲んでいる。
メニューに「イカ納豆」があったので、サービスの女性に聞いてみた。
「アジ納豆って、出来ますか?」
「はい。お作りします」。即答である。
料理人ならまだしも、サービスの女性がメニュー以外のわがままを、即答できる店はなかなかない。
すると厨房から声がかかった。
「紫蘇を入れますか? 茗荷はどうしますか?」
嬉しいじゃないか。痛いとこをついてくるねえ。
「紫蘇入れて、ネギは抜きで、上に海苔かけて。わさびではなく辛子で」と、お願いした。
現れた「アジ納豆」は、新鮮なアジが納豆の中で飛び跳ねて、酒を呼ぶ。
調子に乗ったおじさんは、また聞いた。
メニューにいくつか「かき揚げ」があったので、「カズノコとイカのかき揚げできますか」。
「はい。大きさはどれくらいにしますか?」 
これまた即答だった。
逡巡する、気配さえない。
ムチっとしたイカと、コリコリとしたカズノコが衣の中で、痛快に渡りあう。
いいねえ。
「おいしいっ」というと
「今度からメニューに入れます」とは、鈴木店主。
シメもわがまま心が疼いて「サバを細巻きにして、ガリも一緒に巻き込んで」
これまた理想のサバ細巻きが現れたのだった。
通常メニューは100種以上。夕方から深夜12時まで満席。
ああ近くにあったらなあ。
福井「猿の盃」