歯、いや歯茎が喜んでいる。
肉から伝わる様々な感覚に、打ち震えている。
この店では2度目の子豚の丸焼きである。
一皿目は、頰肉を北京ダック風にしていただいた。
カリッ、皮が音を立てて弾けた瞬間、わずかな皮下のコラーゲンと脂がチュルッと口の中に入って、顔を崩させる。
そのわずかに、仔豚だけの存在があって、愛おしい。
次は背肉の皮を、饅頭に包む。
カリリッ。バリンッ。
頬よりはるかに痛快に弾ける皮は、もっちりとした饅頭と対比し、さらに凛々しくなって、楽しい。
最後は肋骨を持って、肉と皮にかじりつく。
皮は変わらず、バリンッと弾けるが、その下の肉が危ない。
まだ筋肉として成人する前のいたいけな、ただ柔らかいだけではない気配があって、食べてはいけない純粋がある。
そのゾクゾクするような禁断に、僕は酒を飲むのも忘れて、ただひたすらにしゃぶり続けた。