妙なる食感の料理

食べ歩き ,

人参20本を低温の油の中でゆっくりと加熱し、人参油を作る。
新たな生の人参を細く、同寸に切る。
北京大根の漬物とタケノコは、人参より細く、同寸に切る。
同寸の長さに切り揃えた香菜の軸と、人参、大根、筍を合わせ、人参油を入れた鍋で炒める。
ごくごく弱火で、鍋を煽ることなく、人参らを返しながら火を通していく。
強い加熱でカロテンが壊れにくいように、油によってカロテンの吸収が良くなるように。
べれば人参の優しい香りが破裂する。
人参のシャキシャキの影に隠れた、大根と筍の健気な食感が可愛らしい。
人参の香りの隙間から、そっと顔を出す香菜の香りがいじらしい。
かくして生のようで生ではなく、炒めてあるようで炒めてはなく、人参の香りに満ち満ちた、妙なる食感の料理が出来上がる。
「厲家菜」の逸品。