どどうっ。

スープを一口飲んだ時、地響きがした。

札幌「無聊庵」の「特濃羊麺」である。

鰹出汁も使わず、羊骨100%をグッと煮詰めた特濃スープと自家製麺による麺料理である。

そのスープは、羊そのものであった。

牧草地を駆け巡り、草を食んで生きて来た羊たちの、命の香りに満ちている。

スープを飲んで、赤ワインが恋しくなった。

太く、歯を押し返す弾力がある麺は、そのたくましいスープを絡めながら口元に登って、勇壮な気分にさせる。

焼かれたばかりの羊肉をかじる。

スープを飲む。

麺をすする。

ふんっ。鼻息が荒くなる。

食べ進むごとに、気分が上気していく。

「俺は、肉を食らっているぞお」。

麺料理なのに、そう大声で叫びたくなった。