恵比寿 ウェスティンホテルの「龍天門」

合 桃 担 々 麺 千四百円

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合 桃 担 々 麺 千四百円
ウェスティンホテルの「龍天門」は、高い天井と広々とした室内を持ち、中国の壺や彫像、中国風の門が設えられた、華やかな高級中華料理店である。
したがって、おなじみのチャーシュー麺や五目焼きそばも千八百円と、このコラムの趣旨からは、ちょっと遠い存在の店である。
しかし唯一安い値段を付けられている麺がある。それが胡桃料理を得意とするシェフが考案したオリジナル麺で、夏にふさわしい、「合桃担々麺」だ。
四川省の名物担々麺は、本来汁が少ないそばだが、日本では汁そばが主流であり、芝麻醤とたっぷりの辣油による、辛みと香りが生きたスープが人気の麺料理だ。
炒めたザーサイと豚挽き肉による具もピリッと辛みをあおり、食べ進めば進むほど、辛さが体中を駆け巡って汗だくになる。食べ終ると爽快感に満たされる。
「龍天門」では、この担々麺に胡桃をミキサーですり下ろしたものを加えるのである。それゆえに、お馴染みの真っ赤な溶岩流のようなスープに、白濁した液体がまだらに混じりあっているのだ。
散りばめられた韮や葱の微塵切りをかき分けるようにして、一口スープをすすると、舌先に胡桃の甘みとコクが広がり、飲み干せば、裏に隠れていた辛みがしっかり口腔に残る。この甘みと辛みの攻めぎあいが絶妙で、気がつくと最後の一滴まで飲み干して、汗と鼻水を滴らせながら、フーフーとあえいでいる。
胡桃のエキスが加わって、従来の淡々麺より濃厚で、豊かな風味となっているため、酒宴の後では少々重いが、麺料理を食べたという充足感は十分だ。
後は、辛みを強めにしてもらい、快感をさらに高めよう。