ハンバーグとは、かくも凄まじい料理だったのか。
今までおそらく数千回ハンバーグを食べてきたが、こんなハンバーグは、食べたことがない。
そんな史上最強のハンバークと史上最強のステークアッシュに出会った。
デミグラスソースをかけられたハンバーグは、デミグラスのうまさにまず圧倒される。
肉の味は、濃密なソースより弱いことが多い。
デミグラスのうま味が、最初に広がるのは変わりない。
だがその後から、肉の味がグイグイと迫ってくるのである
肉の魂が叫ぶのである。
肉の筋肉を噛み締めているコーフンがあって、顎を動かすたびに鼻息が荒くなっていく。
「俺は肉を食らっているゾォ」。立ち上がってそう叫びたいほどの、衝動があった。
この店で何度かハンバーグをいただいたが、先日のそれは、間違いなく図抜けた、肉の命が込められたハンバーグである。
阿蘇赤牛と走る豚のバラ肉を合わせたそのハンバーグは、一生忘れることがないだろう。
ステークアッシェは、ハンバーグと違って、繋ぎが入っていない挽肉だけのステーキである。
宮本さんが作ったそれを、一口噛んだ途端、血が沸いた。
牛肉の猛々しい滋味が、歯と歯の間で飛び跳ね、食べる側の精神を突いてくる。
熊本阿蘇赤牛の内腿を中心にして、ロースのかぶりとハラミを一度焼いてから冷燻して挽きまとめ、焼いたのだという。
ひき肉は細かいのに噛む喜びがあって、喉に落ちてから、肉の香りが上がってくる
かぶりとハラミなのに筋感がなく、マグロの脳天を食べているかのようである。
噛むほどに鉄分が口の中を巡り、快哉を叫びたくなる。
うむ。ひき肉料理でこれだもの、他の肉料理はどうなってしまうのだろう。
洋食おがた 宮本けんしんシェフとのコラボイベントにて。