ウニ丼の真実。

日記 ,

『ウニ丼』という料理がある。
いつも思うのだが、丼という形ながら、どうもご飯喚起力が弱い。
イクラ丼は、醤油の助けを借りるものの、ワッシワッシとご飯を描き込ませる。
しかしウニは、そういう性格ではない。
特にミョウバンを使っていない生ウニは、味がキレイなので、それ自体はおいしいものの、ご飯を強烈に欲しない。
そんなことを、一杯4320円という、ウニが80gが乗ったウニ丼を食べながら考えた。
米が多くては持て余すと考え、ご飯量を少なくしてもらったウニ丼を食べながら考えた。
寿司は、酢飯の酢と塩気があるからいい。
塩ウニは、凝縮したウニのうまみと練れた塩気があるからいい。
しかし生ウニは、ご飯が恋しくならない。
卓上に置かれた「ウニ丼用だし醤油」にわさびを溶かし、少しづつかけて食べる。
うむ、少し喚起力が増した。
だがあまりかけると、キレイなウニの味が消えてしまう。
そこで、ウニとご飯を徹底的に混ぜてやった。
もったいないという貧乏根性を吹き飛ばし、徹頭徹尾混ぜてやった。
さらにウニの佃煮を、そこに乗せてやる。
うむむ、これは別の美味である。
ウニと米、それぞれの甘みが抱き合い、渾然となって背骨を溶かす味である。
ウニをケチらず、ウニ対ご飯を6対4位にすると、なおさらいい。
ならばと、そこにウニを乗せて掻き込んでみた。
いい。
さらにこの「混ぜ混ぜ生うにご飯の生うにのせ」を頬張りながら、純米吟醸と合わせてみた。
いい、とてもよろしい。色気が出た。
しかし当然ながらこうして食べていくと、ご飯を少量にしたにもかかわらず、ご飯が余ってしまう。
つまりご飯喚起力問題の解決には、ならないのであった。
函館「ウニ村上」にて。