僕は甘やかされていた。

食べ歩き ,

甘くない。
北海道で伊庭さんという方が作られているオーガニックとうもろこしが届いた。
最初に一口齧った,素直な感想である。
甘くない。
だかよくよく噛んでいくと,奥底から甘みが湧き出てきた。
強すぎない,素直な甘みである。
僕の舌は今まで,甘いとうもろこしに懐柔されていたことに,気がついた。
これが本来の甘さなのか?
あと二つ、気づいたことがある。
とうもろこしを齧る時は、いつも汚く食べる。
実を根こそぎ食べるのではなく,噛み潰して,根っこの胚芽を残す。
胚芽のモソモソした食感とほろ苦さが、実(胚乳)のジューシーさと甘みを邪魔するからである。
ところがこのとうもろこしは、胚芽が一切邪魔をしない。
下の歯で実を掘り起こして食べる。
すると,一粒一粒が口の中で舞って、植物としての躍動感を伝える。
最後の一つは,根元ではなく,穂先の味である。
穂先は甘みが弱く,青々しい香りがあって、その切なさが好きだった。
ところがこいつは,甘みはやや弱いものの,青々しさがない。
先端まで,植物の生命力にみちている。
いやまいった。
世の中には,まだまだ知らないことがあるなあ。
「発見の旅とは、新しい景色を探すことではなく、新しい目を持つことにある。」
—— マルセル・プルースト
写真は食べたとうもろこしではありません