伊藤くん。このパテアンクルートはうまいのだよ。
いや正確にはジビエのパイだね。
まずパイ生地が、焦げる寸前まで焼かれて香ばしい。
熊、鹿、猪肉のパテは、練り肉の旨味に溢れて、一口食べた瞬間に「うまいなあ」と呟かせ、手は自然に赤ワインのグラスへと伸びてしまう。
そして、生地とパテの間には、熊、鹿、猪肉で撮ったコンソメジュレの、澄んだ滋味が控えている。
パイ、パテ、ジュレの三者を一緒に口にした時は、ああ「フランス料理万歳」と叫んだよ。
さらにこの時期には、「海亀のスープ」もやっている。
ビーフコンソメなど混ぜない、肉も入れられた純粋海亀のスープに、唇はねっとりとコラーゲンが粘りついて、てらてらと光り、できることなら立ち上がって大笑いたかったなあ。
青山「ラチュレ」にて