中国人は食べるひとの機微を操るのが上手

食べ歩き ,

NETFLIXの美味の起源をご存知だろうか?
中国各地の郷土に根付いた料理を、圧倒的な画質で見せる12分の番組だが、あれをみていると、いかに自分が中国料理のことを知らないか、日本で食べることのできる料理は、ごく一部だということを、痛切に感じる。
これは「脆皮豆腐」という潮州料理である。
サクッと揚がった香ばしい衣には、様々なスパイスが織りなす芳香があって、口を開けた途端に飛び込んでくるその香りに魅了される。
そして噛めば、衣ははかなく砕け、熱々の豆腐が現れる。
表皮のスパイシーさや衣とは対照的な食感や味である。
いやだからこそ豆腐の知り得ていたはずの、淡い甘さや柔らかさが胸に迫ってくる。
対象を置くことで、豆腐を際立たせる。
そしてこれはしみじみと、おいしい。
しみじみとしながらも、スナック的な誘惑をもあって次々と手が伸びて止まらなくなる。
こういう料理を食べると思う。
中国人は食べるひとの機微を操るのが上手だなあと。
日本橋「蟹王府」にて。
「脆皮豆腐」パリパリ豆腐
黒胡麻、餅米粉、赤唐辛子粉、鶏肉の旨味粉、小麦粉ほか、あとは秘伝の
脆皮粉で揚げたという。その粉が欲しい!