新宿 ミュン 閉店

中 部 そ う め ん 

食べ歩き ,

中 部 そ う め ん
夏になると、辛い料理を無性に食べたくなる。
辛い刺激を得て 弱まる食欲を鼓舞したくなる。同時に、疲弊した体をいたわって、心底野菜が食べたくなる。
この辛さへの欲求と野菜の補給という、夏の食欲をかなえてくれるのが、ベトナム料理だ。ベトナム料理は、近隣のマレーシアやタイほど料理は辛くないが、中には汗が噴き出るほど辛く味付けされた料理もあり、同時に生野菜やハーブ類を多用することが特徴だからである。
新宿に店を開いて十六年来になる、この店の名物麺料理、「中部そうめん ブン・ボー・フェイ」は、その典型的な料理だ。
いかにも辛そうな、真っ赤な色をしたスープ麺だが、かたわらに生野菜がこんもりと盛られた皿がついてくる。この生野菜をスープ麺の中に投入して、ムシャムシャ、ツルツルと食べるのが、この麺の流儀なのだ。
ベトナム中部にてよく食べられるというこの麺料理は、見ためほどは辛くない。牛の骨とレモングラスでとったスープに、砂糖、塩、豆板醤で味をつけた、酸っぱくて辛いスープである。
スープに絡む麺は、素麺というより冷や麦に近い太さを持つ、素朴な味わいの米の麺ブン。
そしてこの麺に、添えられたクレソン、サニーレタス、もやしを投入し、食べるのである。
中でも、おそらくこの料理以外では食べないであろう、生のもやしのみずみずしさがたまらない。辛酸っぱい麺と、シャキシャキと口の中で弾むもやしの甘さは、実に新鮮である。
そのせいか、食べ終わると、辛い麺の刺激感より、すっきりとした清涼感が残るのだ。

写真はイメージ

ミュンは閉店 姉妹店ティンフックは新宿にある