神谷町 ダオルモ

世界最強のラサ

食べ歩き ,

ラサというPastaがある。

北イタリアは、エミリアロマーニャ州の北やトレンティーノ=アルト・アディジェ州で食べるPastaだという。

生パスタの塊をおろし金でおろしてつくる、米粒よりふた周り大きい、小さく不揃いなパスタである。

不揃いで不恰好ゆえに、ソースが絡みやすい。

噛むとクニュッした弾力があって、それが心地よい。

本国では、山間地ゆえに肉と合わせることが多いが、こいつは魚と合わせるとたまらない。

鯛など白味魚などと合わせると、魚の柔らかい肉とラサが同調する気配があり、かつ魚のやさしい旨味がからまって、美味しさを膨らますのである。

昨夜は、アラだった。

食べて思う。

これは、世界最強のラサではないか。

アラ特有のコラーゲンに富んだ身と汁が、ラサにまとわりつく。

するとラサ自体が、皮下のコラーゲンの化身のように感じるのであった。

魚で最も美味しいとされる、皮下部分である。

それが大量に口に流れ込み、ちゅるんと歯に甘え、膠質特有の豊満な甘みを舌に広げるところを想像してほしい。

食べゆくうちに、唇がぬめり、テラテラとなっていく様を想像してほしい。

やはりこれは、世界最強のラサである。

 

神谷町「ダオルモ」にて。