一皿目、旬の揚げ物として供された皿は、「サマートリュフの天ぷら」だった。
薄切りにして、そのほのかな淫靡香とにんにく香が入り混じった夏トリュフ。
しかし我々は、その香りという一端しか知らない。
コリリッと、小気味のいい歯触りで噛みこむと、百合根にも似た、おぼろげな甘さがにじみ出る。
奥底に微かな酸味。
噛みこむごとに膨らむ香り。
「鮮烈な黒トリュフや白トリュフでは、食べているうちに飽きてしまいますが、夏トリュフだからこそ実現できた料理です」。
上にかかるは、黄身を醤油漬けにして冷凍し、解凍して、黄身の純度を高めたソース。
ねっとりとした甘さが、夏トリュフの純朴を際立たせる。
「つんとすましているように思えたけど、実は土の温かみを備えて実直な、いい奴だったんだなあ」。
香りだけではうかがい知れない、夏トリュフの生物としての立脚点を、ありがたくありがたく、おしいただいた。
[幻燈士なかだ]」にて。
一皿目
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