リンゴは薄い。

食べ歩き ,

リンゴは薄い。
薄く薄く、儚い食感に、たくましい酸味を宿している。
サクリとタルトが砕け、パリとリンゴが散る。
サクリ。パリ。
サクリ。パリ。
霜柱を踏むような軽やかさに、きびしき冬の太陽を抱いて、永遠を知らせにくる。
そしてその姿を、その豊かな命を、バニラのアイスが微笑みながら見守っている。
「アラジン」紅玉のタルト