メヒカリをバカにしていた。
たまに唐揚げでビールを飲むのもいいけど、脂に繊細さがないよねと,見下していた。
だが、京都のSAKAIで衝撃を受け、私が知らないだけでした、ごめんなさい、許してくださいと平伏したのである。
メヒカリの本質を知ったはいいが、そうやすやすと質のいいものを、東京では食べることが叶わない。
ところがいわきに来たら、右も左もメヒカリばかりである。
なんと「市の魚」として,公式認定されているという。
寒流と暖流が交わる常磐沖の水深150〜300mほどに生息し、豊富な餌を食べて育つため、身が柔らかく脂がのっているらしい。
寿司屋に入ると,
「お客さん運がいい。今朝獲れたメヒカリが入っています」と、伊藤さんが握ってくれた。
漁師に頼み,獲れたらすぐに氷で冷やし、届いてからも冷たくしておく。
艶やかな肌に歯を入れてみた。
シコッ。
予想と反して,身に張りがある。
豊かながらキレのいい、豊かな,ほのかに甘い脂が流れ出し,酢飯と消えていった。
いやあメヒカリって,エレガントな魚だったのね。
「鮨いとう」にて。
「HAGI」でも、メヒカリが登場した。
菊芋と発酵白菜、蕪のソースが流されている。
やはり焼きはうまい。
衝撃をうけた、SAKAIと同じ薪火焼きである。
脂に下町育ちのしたたかさがあって、舌に甘えてくる。
同じ深海魚ののどぐろとは違う、人懐こい脂である。
発酵白菜の練れた酸味が、メヒカリの脂を,少し締めて,一層おいしくなった。
あらためてメヒカリの底力を見た。
最後はメヒカリに敬意を表し,「メヒカリ蒲焼弁当」を食べながら,帰路についたのだった。









