ハマグリは濡れていた 2015.11.06 食べ歩き , 東京 , 貝類 , てんぷら Tweet ハマグリは濡れていた。 体液を滲ませて、じっとりと濡れながら、囁いている。 見ないで。早く食べて。 熱々を口にすれば、まだ生の気配があるのに加熱された甘さと香りがある。コハク酸特有の舌を焦らす甘みがゆっくりと染み出して、口の中を満たしていく。 とても熱いのに、海の中に飛び込んだような清涼があって、人を惑わす。 もはや、食べる官能小説かもしれない。 銀座「阿部」のハマグリの天ぷら。