紀尾井町「トレーダーヴィックス」

「マレー風海鮮ZEMB麺焼きそば」。

食べ歩き ,

焼きそば好きである。
明確な理由はわからないが、味が絡みついた麺が、唇を過ぎ、舌の上に吸い込まれていく瞬間に、たまらない恍惚を感じてしまう。
一本一本が舌を撫でながら味を主張する、あの感覚が好きなのかもしれない。
その点、この「マレー風焼きそば」は、完璧である。
ずるっとすすれば、オイスターソースの豊かなうま味をまとった麺が、口元に登ってくる。
うまみに微笑んでいると、中から辛味が顔を出す。
このうま味から辛味という流れがクセになる。
頬を撫でられた後に、引っ叩かれたような、アンビバレンスな感覚があって、箸が止まらなくなる。
さらに麺がいい。
豆だけを使ったZEMB麺なのである。
焼きそばの濃厚な味わいの後に、豆の甘い香りがふわっと追いかけるのである。
つまり撫でられ、引っ叩かれ、さらにハグされるのだ。
もちっとした歯を押し返すような麺のコシと、シャキッと弾むもやしの対比もいい。
途中でライムをかけ、カピとニンニクと唐辛子で作った自家製激辛サンバルを混ぜて味変すれば、さらに表情が広がって、箸を持つ手が加速する。
ニューオータニ、「トレーダーヴィックス」の新メニュー「マレー風海鮮ZEMB麺焼きそば」。