トマトのフライである。

食べ歩き ,

トマトのフライである。
長い人生で初めて見たし、「トマトをフライにしました」と考えた人にも出会ったことがない。
恐る恐る食べれば、いけているのである。
カリッと香ばしい衣の中から、クニャリト加熱されてうま味を増したトマトが顔を出す。
ご飯のおかずというよりやはり酒の肴だね。
そしてカツカレーである。
カツカレーといってもここは酒場だからご飯はないよ。
カツカレーの頭なのである。
このカレーがかかったカツを食べながら、酒を飲む。
この背徳感が、たまらなくいい。
そんなおもろい品書きも含めて、おそらく全制覇するためには一ヶ月通わなくてはならないだろう。
なにしろメニュー数が138種類もあるのだから。
数えて店主にいうと、「そんなにありましたか」と他人事のように驚かれた。
瑞江の大衆居酒屋「大林」である。
しかも同席した人が、「引っ越しちゃおうかなあ」というほど、安い。
例えば、おなじみのもろきゅうもハムカツも、わかめ酢も250円、煮込み、鳥玉ねぎとじ、鯖の塩焼き300円、トンカツだって400円ですよ。
ええいこうなったら、一番高いうなぎ蒲焼頼んじゃえ。
といっても800円だけどね。
酒の方といえば、酎ハイには、赤と白があって、赤とは梅シロップを入れた酎ハイだな。
さあ頼もう。頼もう。
ハムカツは分厚く、ヤリイカバタートマト炒めは、炒め具合が良く、煮込みも青柳かき揚げも、これでもかという量である。
メニュー数も多さも、量の多さも、お客のことを考えて生まれた優しさであり、その心根こそ、大衆酒場のものなのだな。