チュオタンどじょう

食べ歩き ,

チュオタン どじょう

ちょっと土日で、韓国に飯食いに行ってきました。韓国食のプロの案内ゆえにガイドには載っていない、現地の人もあまり知らない店ばかり。一日五食を目指せ、と食いまくり。
 朝から精力をつけようと、ドジョウ鍋「チュオタン」専門店に出かけたのでした。食のプロ(某有名韓国料理の先生)によれば、「前に来て一度食べて、そのおいしさに、店ごとパッケージして日本に持ち帰りたかった・・・」と、言わしめた店である。朝八時半、われわれは期待に鼻を膨らまし、唾液をたらしながら店の前に立ったのであった。

食べた話は後に回すとして、チュオタンのおさらいを。日本では食べさせる店が少ないチュオタン(赤坂チョンギワと大塚 里里で食べられるハズ)は、本来冬の食べ物です。
先生によれば、煮込んだどじょうを裏ごして作る慶尚道式と、日本で言うところの丸というどじょうの姿がまんま残っているソウル式の二種類あるのだそうだ。これにさまざまな青菜やいもづるズイキをいれて煮込み、辛いヤンニョムを適宜入れて食べるとのこと。
 またどじょうの体は「ミクンミクン」(ぬるぬるしてすべる様)していることから、別名「ミクラジクッ」とも呼ぶそうだ。なにせおいしい上に精力がつく滋養高い汁とのこと。期待は高まりまっせ

チュオタン
店の名は「ソンチャインハルモニチュオタン」つまり、「ソンチャインおばちゃんのチュオタン屋」ってことか。ご覧のとおり、店の前にはおばちゃんの顔が堂々と掲げられている。 

メニュー
上段はチュオタン 次の段は丸のままドジョウを使ったトンチュオタン
薬味
上右から時計回りに、サンチェ(山椒)、コチュカル(唐辛子の粉)、ソグム(塩)、トゥルケ(すりエゴマ)。

ミッパンチャン(常備菜)
煮干の煮物とニラキムチ 

 ぐつぐつ湯気立て、なべが登場。ほの甘い香りが立ち上がって胃袋くすぐる。薬味を入れずに素のまま飲めば、なんとも上品な滋味。鰹節だしに似たうまみが口の中に広がって、思わずにやり。臭みや泥臭さなど微塵もなし。たっぷりと入れられたトランチ(芋づるズイキ)やメルンジ(高菜)などの野菜類も、気分を穏やかにする。
 あとは薬味を徐々に付け足して食べ進むべし。
 まずは、すりエゴマの風味をスープと調和させ、ねぎを入れて食感のアクセントを楽しみ、にんにくや山椒を入れて香りの変化を楽しみ、青唐辛子と唐辛子粉を加えて発奮する。
 途中、玉ねぎやキャベツ、青唐辛子といった、添えられた生野菜をかじって気分一新。
 次にニラキムチをも投入して酸味と辛味を加味しちゃう。ああもう止まらない。奥底からじわじわとにじみ出る滋味と味のグラデーションが、胃袋をわしづかみ。
 さらにここでご飯を投入。一口すすれば一同口をそろえて、 「こりゃやばい」。後はもう一気呵成。
 一方丸のままドジョウを使ったトンチュオタンといえば、エゴマの葉のさわやかな香りとにんにく臭が加わった、より複雑味のある味わい。ドジョウのミックン(すべすべ肌)が唇をするりと抜けて、鼻息荒くなる。
 興奮を治めるは、やさしいやさしいおこげ茶。
 「うまかったなぁ」と、腹をさすりながら店を出て、一時間もたっても体ぽかぽか。一晩たてば、また無性に食い。トリコとなった自分に気づくしだい。