センマイといえば

食べ歩き ,

  • 牡蠣オムレツ

センマイといえば、細く切ったセンマイ刺しの、コリッとした食感しか知らなかった。
しかしこれはどうしたことだろう。
幅2㌢ほどに切られたセンマイは、ふわりと歯を包んで、溶けるように消えていく。
6時間煮込んだというセンマイは、同じ食感にまとめた魚団子と、共に溶け、ワラビのような食感の干しカリフラワーが盛り上げる。
強烈な辛さの中の優しい食感は、殴られながら撫でられているような感覚で、心を揺さぶり、翻弄する。
黄唐辛子による泡辣椒の発酵した深い酸味が行き渡った、牛の大腸とトリュフ、心臓とトリュフは、なんて合うのだろう!
添えられたナマコがかすむほどの、出会いの妙である。
ミノは、丹念に筋を取り、切り離さない手前まで包丁目を入れ、18秒炒める。
それ以下だと硬くなり、それ以上では、臭みが出るという。
「ミノは難しい。食感が一番大事ね」と、趙陽さんが語るとおり、痛快な歯触りとしなやかさの間の絶妙がある。
餅米の柔らかな甘さに包まれ少し辛い、豚の大腸の幸せも味わおう。
中国人間国宝候補であった厨士の底力は恐ろしい。
そしてこれらの料理の汁に、ご飯をぶち込んで食べれば、さらなる至福が降臨するのであった。
「趙陽、光山のホルモンを調理するの会」にて