今から9年前、滋賀の精肉店から「食べてみてください」と、牛肉が送られてきた。
ミートラップをむいて、目が丸くなった。
今まで見てきたどの牛肉とも違う。
オレンジがかった黄色の背脂が、豚肉のように分厚くついている。
しかも赤身は、強固な繊維が走っていて、引きちぎったかのようにボロボロである。
換気扇を回しても回しても、部屋中に、焼けた肉や脂の香りが立ち込める。
食べても手強く、よく食レポの人が口走る「柔らか〜い」とは、対極にある。
しかも草の香りも漂うものだから、次第にコーフンして、最後は手づかみで食べた記憶がある。
これがジビーフとの出会いであった。
あれから9年、FBの投稿によると73回も食べていた。
ジビーフの肉質と味は、牛の排泄物により土壌が改良されたのか、明らかに肉質は良くなり、滋味は増した。
写真3枚目がイルジョット 4枚目、5枚目がラフィナージュである。、
先週の三日間立て続けででいただいたジビーフである。
一口目の旨みは静かだが、次第に口の中に湧き出してくる。
草の香りがほんのり漂い、甘みではない肉のエキスが膨らんでいく。
普段より多く、33回ほど噛み、肉片が口の中で小さくなっても、味は薄くならない。
二人の肉焼きの天才に焼かれて、ジビーフは、歓喜の叫びを上げていた。
9年前より、味に色気と優美が加わりながらも、やはり他の肉とは圧倒的に違うジビーフは、9年前同様鼻息を荒くさせるのだった。