何事も誠実に考えて丁寧に作れば、同じ料理でも激変する。
当たり前のことながら、保守的な料理ほどそれができない。
もちろん昔ながらのやり方でやっても、十分においしい。
しかしさらに上があることを知らないで、生きていきたくはない。
そんなことを思った。
お題はシェパーズパイである。
イオギリスの家庭料理で、羊のミンチで作ったミートソースにマッシュポテトで蓋をしてグラチネした料理である。
イギリス人にとっては、肉じゃがみたいなものだろう。
僕も学生時代にホームステイした時、ホストファミリーが幸せそうに食べる光景を見た。
しかし奥野シェフは、考え抜いた。
羊の代わりに、近江牛のもも肉で作ったのである。
もも肉であるから、コラーゲンがゼラチン化してトゥルンとほの甘い。
上品なシェパーズパイである。
あのホストファミリーに食べさせたら、仰天するだろうな。
デプスブリアンツァにて
正式には語源からすれば、Shepard’s Pieという時にはラム、ビーフを使ったのはCottage Pie。