コートドール5月

食べ歩き ,

なんとけがれがないのだろう。
前菜のフォアグラテリーヌは、どこまでも甘美でいとおしい。
純粋な脂の香りを口中に残して消えていく。
そしてラビゴットソースで和えられたスナップエンドウの意味。
シャキシャキと痛快な音を立てるよう、精妙に火通しされたスナップエンドウの食感と青い甘みとの対比が、互いを引き立てあう。
フォアグラを食べているとエンドウを欲し
エンドウを一齧りすると、テリーヌが恋しくなるというわけだ。

添えられたトーストではさみ
サンドとしゃれてみた。
ハハハ。

メインはカサゴのソテー。
一口食べて唸った。
二口食べて笑った。
三口食べて、生きてるぞと、叫んだ。

 

ソテーされたカサゴの半身
ほほ肉、カマ、肝、胃袋。
噛むと、一瞬歯を押し返すような弾力。
舌の上で身がほどければ、甘みとコラーゲンのうまみ。
オコゼのたくましさのぶつけた、ニンニクバターソースと
互いに高みに登っていく。
ぐいぐいと、
皿の上から生命力が駆け上ってくる。
たまらん。

デセールは、
アールグレイ茶に泳ぐ、グレープフルーツ。
グレープフルーツのみずみずしさはそのままに
アールグレイの香りをマタイ
色っぽい。