ケジャンオールスター

食べ歩き ,

柑子色に艶めく卵が、手を差し伸べる。
「私を食べて」と、誘いかける。
たまらず手でつかみ、接吻する。
ふにゅ。
卵はつぶれて舌に広がる。
いけない甘みが広がって、体中の筋肉が弛緩する。
「ふうっ」。
一息ついて、今度は半透明な肉をかじりつき、歯でしごく。
「にゅるっ」。
まだ命の灯火を宿している肉は、唇に舌に、上顎に歯にしなだれて、醤油風味のかなたから、つたない甘みをのぞかせる。
カンジャンケジャン。
誰がこんな危険な食べ物を考え出したのだろう。
辛いヤンニョムケジャンより、ワタリガニの生きた証を伝え、感謝させる。
西麻布「ケジャンオールスターズ」にて。