キンキは、濡れていた。
スプマンテで蒸され、そのソースが添えられ、トリュフをかけられて、濡れていた。
肉は、まだ生の水分を宿しているかのようにしっとりと、歯に食い込んでくる。
たっぷりと乗った脂は、スプマンテソースの巧みな酸味によって、深海魚特有のだらしなさを感じさせず、ぬるんと舌に広がっていく。
こうしてキンキは、自らの体に色情を貯めて、僕らの官能を刺激する。
シチリアのシャルドネを飲みながら、優美なひと時を作り出す。
リゾナーレトマム 「オット・セッテ」武田シェフの色気ある料理。