キャベツが凛々しい。
イタリアのたくましい大地の養分を吸い取ったキャベツは、一筋縄でいかない強靭さがある。
菊芋とサルシッチャを混ぜて詰め、澄ましバターかけて焼いてから、フォンティーナチーズによるフォンドゥータソースをかける。
ファルチート・ディ ヴェルタ。イタリア風ロールキャベツである。
キャベツの甘みが濃い。
キャベツ自身のほのかな苦味と相まって、生命力のたくましさを誇り、サルシッチャとチーズの塩気、菊芋のもったりしない甘みと抱き合って、おおらかに我々の心を掴んでくれる。
食べた瞬間に、ため息が漏れ、少し遅れて「おいしい」の言葉が漏れた。
一方こちらは「カッスーラ」である。
色々なやり方があるが、本格的に子豚を皮付きのまま入れて煮込み、さらに椎茸や白菜などの野菜をすりつぶして入れ、ゴボウと黒キャベツを一緒に煮込んである。
子豚の頭の手前に見えるは、ラルドで、このコクがカッスーラの味を深めている。
汁は、とろとろんで、唇に上顎に、舌に喉に、ペタペタと甘えてくる。
溶け込んだ野菜は優しさを出し、ぐずぐずに煮込まれた豚の皮や肉は、舌ともつれ合うようにキスをする。
「ああ、お腹をすかしてこれだけを食べたい」。
そう思った。
これだけで腹を満たしたい。
そう思わせる料理には、愛がある。
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