インド人だけが食べているvol7
「チキンペッパーフライ 鶏肉の黒胡椒炒め」。
ソースだけをなめてみる。
さらりと舌に広がる香り高き液体は、複雑な濃厚さを持ってにじり寄る。
黒胡椒の情熱的刺激は、丸い味の一点ににあって、出しゃばらず底支えをしている。
頼もしい。いい奴だ。
もう一舐め、二舐めとうまさに魅かれて味を確かめるうちに、ああっと膝を打つ。
「懐かしい味だなあ」。
インドで過ごしたことも行ったことも、先祖がインド人でもないのに、
素直にそう思う。
なにかこう、素朴な温かさが底辺に流れていて
心が四肢を伸ばし、ほのぼのとくつろぐのだ。
ようやく鶏肉を食べ、ご飯と混ぜて食べる。
でも、やはり
「懐かしい味だなあ」は、変わらない。