イタリアン・レストラン・ウィークで「フェリチタ」に出かけた。
この一軒家のレストランは、14周年を迎えたという。今夜のテーマは、「伝統料理へのオマージュ」ということで、クラシックな料理名が並ぶ。
中でも「黒トリュフを削りかけた茸のトルテリーニ」が素晴らしい。
ポルチーニ茸とマッシュルーム、トリュフ、ペシャメル、パルミジャーノを詰めたトルテリーニと、牛筋と野菜のブロードにバターを加えたソースを添え、上から削ったトリュフを散らしたものである。
往往にしてこのタイプの料理は、味が濃くなりがちだが、バターの量や塩気が見事にコントロールされ、茸とトリュフの風味に自然を感じさせる味わいとなっている。
北イタリアの森の静かさと豊かさにいるような、風情が漂っている。
その他、茹でた平目とカリッと揚げたエンガワに、あさりの出汁を添えた、アクアパッツァの再構築、「鮮魚のアクアパッツア2013」や、口の甘みと猪の滋味が、ややは利森の深さを感じさせる、「モンタルチーノ風ピーチ 丹波の猪と栗」。
しっとりと滋味を含みながら煮込まれた、品格のある「赤ワインで煮込んだ和牛ホホ肉」など、弱冠28歳とは思えぬシェフの、腹の座った仕事ぶりを堪能した。