アオリイカとマコガレイである

食べ歩き ,

アオリイカとマコガレイである。
しかしアオリイカは、こんなアオリが生息していたのかと思うほど大きく、マコガレイは見たことのないような飴色に身を染めている。
イカを食べれば、身に歯が包まれてじっとりと甘い。
甘みが強いのだが、艶を帯びた甘みで、人間の存在を見透かすような品がある。
一方マコガレイは、噛むほどに滋味が沸きいでる。
うま味が永遠に続いていくような、絶望感に圧倒される。
吟味された至高の食材とは、こういうことを言うのかと知った夜。
6月の「と村」にて。