ふかひれが食べたい

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「ふかひれが食べたい」。とある人が言うので、ならば私も
 「とことん食べてやろうじゃないか」という気分になって、新宿のシェフスに出かけた。

 二人で姿煮を食べるという暴挙に出たのである。暴挙ではあるが、食材というものは、ある程度の量を食べてみないと真髄は見えてこないのが真理であると、自分に言い聞かせて散財をした。

 で。ふかひれ様である。隣席の高砂親方が上海蟹をむしゃぶりついている横を通り、静々と現れたそれは、付け根部分が厚さ四センチ弱という堂々たるお姿である。堂々と鎮座なさっているが、気品すら漂うお姿でもある。

 貝柱と金華ハムのスープが煮含められた太い繊維を、唇にぬるんと滑り込ませる。ああ、滋味がゆるゆるとにじみ出て、胸の辺りが暖かくなって、うっとりと目を閉じる。太い糸が、舌をのどを滑り落ちて、後はほの甘い、スープの香りだけが残された。

 付け根は繊維が太く、表面より中の部分のほうが太く、中に絡みつく白いコラーゲンもまたうまし。

 ええい、こうなったらやけだぁとばかりご飯にかけて食べてみたら、あまりに危険すぎたので、箸を止めた。

 これは尾びれの下の部分なのか? ヨシキリザメの鮑翅か、高級な海虎翅か金山翅か? 夏菜さん、うまさん教えてください。

 え? 値段。怖くていえません。でも福臨門の最上ふかひれの醤油煮一人前約二万円よりずっとお安いです。