とんかつ 檍あおき いっぺこっぺ
カツカレー好きの度量が試される店である。
まずは選択肢が6種類もあり、他店にはない「かたロースカツカレー」という、魅力的な品書きまである。
「お前はどのカツカレーを至上とするのか?」と、問う。
ならば受けて立とう。人生初、カツカレー6種類一気食いである。
繊細な味わいで、懸命にカレーに寄り添う、「ヒレカツカレー」。
重量は引けを取るが、肉の甘い香りを放つ、「ロースカツカレー」。
肉汁が、カレーの味を優しくさせる、「メンチカツカレー」。
カレーにまみれさせても、肉の味が生き生きと迫る、「上ロースカツカレー」。
圧倒的な迫力で、カレーに攻め込む、「特上ロースカツカレー」。
噛むほどに、肉の味が膨らみ、カレーとソースの両者を受け止める、偉大な「かたロースカツカレー」。
ううむ。悩ましい。
どいつもいい奴である。
しかし。
ベストは、「ロースカツカレー」である。
肉の味が確かながら、カレーと自然に馴染み、カレーはカツを優しく抱きかかえている。
どちらがでしゃばることなく、共に高みに登ろうという愛がある。
カツとカレーの互いが尊敬しあう、カツカレーの神髄がここにある。