四谷荒木町「おかげさま」

たくわん卵。

食べ歩き ,

「ん?」
品書きを見ていて、想像のつかない料理を見つけることがある。
今夜は「たくわん卵」だった。
台湾風たくわん入りオムレツか? たくわんの卵焼き挟みか? たくわん味のする卵か? たくわんを餌に与えた鳥の卵か? 
などとバカなことを考える。
ここは普通「たくわん卵とはなんですか?」と、聞くところだが、あえて聞かない。
結果を楽しむのだ。
果たしてそれは、「刻みたくわん入りスクランブルエッグ」だった。
「あっちゃん」と、常連から呼ばれる、目が優しい奥さんが作ってくれる。
なんてことはない料理といえば言えなくもないが、人に家におよばれてして食べているような、気さくな店内に似合って、ほのぼのとした気分を運んで来る・
僕は「たくわん卵」を肴にして、ちびちびと食べながら、いも焼酎のお湯割を、一杯飲んだ。