それは色だった

食べ歩き ,

それは色だった。
「火・土・風・水」というテーマに対して、新たに徳吉シェフがテーマとして挑んだのは色だった。
雄大なニセコの写真集を見た時に、溢れる色彩に心が動かされ、コレを料理で再現しようと思ったという。
忍ばせて色を表現するという手法もあっただろうが、直裁的に色を表すことで、逆にそれらが我々に問いかけてくる。
我々が普段目にしている色は、光が内包している意味は何なのかと。
赤。白と黒。白の中の白。黄色。紫。緑。青と土色。
器も有田へ特注し、料理も練りに練った。
ややもすると際どく、遊びが行き過ぎ、料理人の主張が強く出過ぎて、下品となってしまう挑戦だったと思う。
しかし結果は、雑味がなく、すんなりと自然に溶け込み、我々に色の意味を問う料理となっていた。
それは徳吉シェフの発想の起点が、自然が発する豊かな色であり、その土地で生まれた食材に対する深い敬意に貫かれていたからであろう。
優れた創造とはいつも、突き動かされる原点の清らかさが大事なのだ。
DINING OUT NISEKO にて。