それは、静かで豊かなスープから始まった

日記 ,

それは、静かで豊かなスープから始まった。
それを自由闊達に料理するのだからたまらない。
平かしわの薬膳蒸しスープは、たくましいけど実に澄み切った綺麗な味わいで、スープを噛み締めたくなるほどに、滋味深い。
二日間腐乳に漬け込んだ鯛は、いかっているようなのに練れたうまみがあって、それが酸白菜の酸味と抱き合い、まことにエロい。
あるいは、香味山椒油をかけた「愛農ポークとじゃがいも」は、口の中で甘く溶けゆく脂が、一時、山椒によって華やかに輝く魅力がある。
あるいは冬瓜と鱧の椀は、鱧の脂が冬瓜にしみこんで、顔を崩させる。
見事なアワビと、ドンコ、干し筍の煮込みは、しみじみとしたうまみを乗せて、心を平安にしたかと思えば、最後は水煮牛肉で心を焚きつけ、コーフンさせる。しかも牛肉だけではない。羊肉も途中から入れるのだからたまりません。
羊の香りと香りが高みに登って、お腹いっぱいなのに箸が止まらない。
「麺を食べるよね」と言われて、麺を入れればさらに箸は止まらない。
ああ終わりかと思えば蓮の葉包みご飯。
ここに紹介しただけで、この夜の半分の料理。
際グループの旗艦店「龍眉虎尾」は、グループで使う最高の食材を集約し、駆使して、我々を責める。
ああもっと責めて。