それは、挟んだというより、パンとカツの頬ずりである

食べ歩き ,

それはパンとカツの頬ずりである。
今、BSTBS「東京とんかつ会議」で、3人が「究極のカツサンド」作りに臨んでいる。
銘々が、店とアイデアをひねりながら、どういうカツサンドを作るかを協議し、試作をし、完成させる。
僕が選んだ店は、「成蔵」だった。
パンは、都内有名食パン店よりいくつか揃え、ソースは「トリイソース」を全種類用意した。
パンを食べ、ソースを舐めながら、これがいい、いやこっちがいいと協議する。
そして「一回作ってみますか」と、三谷さんがヒレカツを上げてくれることになった。
パンはペリカンにし、生トーストを用意する。
揚げたてのヒレカツを、生のパンにそっと置いて、上にパンをかぶせ半分に切った。
ソースはトリイソースのウースターで、キャベツは挟まない。
「パクッ」。
食べた瞬間、僕と三谷さんは顔を見合わせ、笑い出した。

「ハハハ」。
「なんだこれ、おいしい」。
同時に同じ言葉を放った。
揚げたてのヒレカツは、まだ衣が生きている。
肉汁が踊っている。
柔らかできめ細かいパンに、歯が包まれると、サクッと軽やかな音をたてて衣が弾け、ラードの甘い香りが鼻に抜け、肉に歯がめり込んでいく。
その途端、豚肉の甘い香りと肉のジュースが口を満たす。
豚の香りがパンの香りと響きあう。
こんな幸せなカツサンドは。今まで食べたことがない。

だがまだ、完成には早い。
一晩おいたカツサンドはこのままでもいいのか?
キャベツは本当にいらないのか?
トーストが生きる方法はないのか?
肉の厚さはこのままでいいのか?
ヒレだけでいいのか?
ソースはウースターだけでいいのか・・・?
多くの“嬉しい検証”が、僕を待っている。