納豆の食べ方は、どんな納豆であれ変わりがない。
包装から取り出して器に入れ、匂いを嗅いだら(これから納豆を食べるんだという意識を高める)、右に20回、逆の左回転にして15回混ぜ、匂いが立ってきたところで少しずつ醤油を入れて回していく(添付のタレはいれない)。
そして納豆の大きさに合わせて切ったネギを入れ、最後に溶き辛子を入れて完成である。
ところがこの納豆はネギを入れたくない。
この納豆は辛子も入れたくない。
そう思った。
添付の優しい味の醤油で十分である。
なぜなら豆の味が生きているから。
大地の暖かい豆の甘みと甘い香りが、噛むたびに広がっていくからである。
そこにネギの食感も香りも。辛子の刺激も入れたくなかった。
ただただ豆の良さに包まれたい。
そう純粋に思ったのである。
豆は2種類混ぜられているが、薄茶のユキホマレは柔らかく。赤大豆は少しだけしっかりしている。
その二つをかみしめる喜びといったら。
目をつぶれば、収穫寸前の大豆畑に立って、豆の香りに囲まれているようでもある。
そのままでもいいが、ご飯にかければ、その優しい甘みと米の甘みが共鳴して、なんとも穏やかな気分になる。
試しに納豆茶漬けもして見たが、これは煎茶が合う。
茶のうまみの中から、温められててさらに甘みを増した納豆が顔を出す瞬間が、なんとも愛おしいのである。