さりげない料理にこそ、真実は宿る。 2020.10.20 食べ歩き , 和食 , 石川 , 豆腐 Tweet さりげない料理にこそ、真実は宿っている。 ひろうすである。 箸で割って、口に運べばどうしたことだろう。 ひろうすは、ふわりと豆腐の甘味だけを口に残して、淡雪のように消えていった。 固まるか固まらないか、そのギリギリの一点に留めてある。 その脆弱さが、なんとも愛おしい。 揚げた表皮は香ばしさを放ちながらも、0.1mm程度の薄さで張られ、中の繊細さに敬意を払っている。 中から現れし干しゼンマイは、手間ひまかけられたであろうしみじみとしたうま味を広げ、野味を輝かせる。