<この店に来る人は三つの疑問を持つ>
①「お腹いっぱい夕飯を食ったのに、こんな時間(大体2130~1時)に食べられるのかな?」
②「かけもころも、肉うどんもきつねもあるのに、みんなカレーうどんしか食べてないやん」
ここに来て30年にはなるが、カレーうどん以外食べている客に出会った事がない。
そのため、「一つ」といえば、自動的にカレーうどんが出、「大盛り」はカレーうどんの大盛りで、「冷たいの」といえば、カレーうどんのうどんが冷たいのである。
③「こんな簡単な作り方で、おいしいの?」
人気店なので常にうどんを茹でているとはゆえ、うどんは茹で置きである。
厨房は、スープ作りAとうどん係Bの二人体制。
A);
①注文が入ると、行平鍋に出汁をお玉で人数分入れる
②マッシャーで人数分のカレールーを入れる。火をつける。
③豚バラ小間切れ10gと、角状に切った厚揚げ入れ、青ネギ入れる。
④煮込み、味を見ながら随時出汁を継ぎ足す。完成。
B);
①注文が入ると1人前ずつ茹で置きうどん、丼に入れる。
②スープの完成見計らい、麺を柄付きのざるにいれ、釜に15秒ほど浸し湯を切って、丼に戻す。
A);
Bより丼受け取り、汁かけて完成。
人間味は、Aの④くらいか。心配になる。食べる。うまい。
日本人なら誰しもが郷愁を感じる、絶妙なカレー香にくすぐられ、そこに品のある出汁のうま味と甘みがからまり、もちっとしたうどんとよく合うのである。
最大公約数の香りと味を感じさせながら、奥底に確かなうま味が潜んでいる、心憎さといいましょうか、一口目からうまく、食べるほどに速度が加速し、沼にはまるのである。
そしてお腹いっぱいなはずが、スープまで飲み干してしまう。
折しも隣の3人連れおっさんは、「満腹やったのに、また食べれてしまう」と、喜んでいた。
名古屋「錦のカレーうどん」。