ここには1年中

食べ歩き ,

ここには1年中、ひらめの昆布〆がある。

舌に乗せれば、しっとりと密着して、昆布の旨味とひらめの甘みが溶けていく。
互いに出会えてよかったねと言い合っているような、自然の味である。
押し出しは少ないが、じんわりとうまい、品がある。
手間をかけているが、シンプルに見える潔さがある。
この昆布〆は、1年中味が変わらない。
それがどれだけ大変なことか。
幾多の苦心を重ねていることか。
だがそんなことは微塵も見せず、親父は飄々としている。
今は無き江戸料理の心意気と技を芯に据え、飄々としている。

 

「たまる」にて