きんつばが嫌いだった

食べ歩き ,

きんつばが嫌いだった。
周りのゴワゴワした砂糖と、中のもそもそとした甘い
過剰さに、一口でごめんなさいをしたくなる。
しかし。
「豆園」に出会い、きんつばとは、豆を愛でる菓子なのだと知った。
薄い表皮が弾けると、豆が顔を出す。
素焚糖のコクをまとった豆が、ほっこりとした気分を運んでくる。
豆の香りが生きていて、優しさと温かさをにじませる。
なによりも、作り手の豆への敬意が染みていて、それが心を豊かにする。

2014

閉店