お好み焼きは自立していた。

食べ歩き ,

そのお好み焼きは、自立していた。
出汁に頼らず、山芋に逃げず、粉の力だけで立ち上がっている。
小麦粉本来の自然な甘みを尊重し、グルテンのたくましさを利用して、優しく甘い。
生地にふんわりと包まれた歯は、ぶるると喜び、舌は嬉しそうに震えている。
ソースはかけられているが、濃い甘辛さの中で、生地の素朴な甘みが輝いている。
ソースに、媚びていないのである。
ソース無しで食べてみたい。そう思ったお好み焼きは、初めてである。
誠実な味とは、こういうことを言うのだろう。
大阪「たんぽぽ」にて。