うたかたの夢になるパスタ

食べ歩き ,

口に入れて舌に着地した瞬間に、ふわりと消えた。
トルテローニである。
三角形に折って重ねているというのに、重なっていない。
いや重なっているのに、それを一切感じさせない。
皮もあんも同時に、うたかたの夢となる。
今自分で食べたのが信じられなくなる、パスタである。
これこそが、イタリアが作り上げてきた文化だろう。
そば職人、点心師がそうあるように、道を極めたパスタ職人にしか生み出せない、美である。
小石川「Base」にて。