「NOPA」で食べながら、言い合う。「こんな店が東京にはない。出来そうだけど出来ない」。
食通から少しバカにされているが、まったく気にしていない彼らの食文化を、きちんと洗練すると、ダレもが喜ぶ料理となる証である。
豚肩肉のコンフィの、カリッと焼けた表皮に歯を立てれば、甘い香りを滲ませながら、ほろりと肉が崩れていく。
その香りにゴールデンレーズン(干し葡萄)の甘酸っぱさが寄り添い、キクヂシャのほろ苦みやポーチドエッグの甘み、ひきわりトウモロコシの微かな甘みが絡み合う。
顔を崩す。
ハンバーガーは、なにより肉の香りを放つパテが素晴らしい。
ミディアムレアと指定した通りの火加減で、肉を食らっているぞおと叫びたくなる。
写真では見えていないが、バジル入りアイオリソースや、ジェムレタス、酢漬け玉葱、チーズ、バンズのすべてに手抜かりない。
そしてフレンチフライは、芋の甘みに満ちて、これだけで幸せな気分を運んでくるではないですか。
一点の曇りもないハンバーガーがあるんだね。
さらには「カスタードフレンチトースト」。
表面のカリリと焦げた焼き具合。しっとりとムラがなく、ムースのような食感で夢見心地にさせてくれる中身。完璧である。
メープルバター、カラメルしたリンゴの糖分も、ほどがいい。
名物は「ロティサリーチキン」。
「ないの?」と聞くと、「ああ、あれはディナーだけなんだ。今夜待っているよ」。と、にっこりお兄さん。
なにせ、バーガーも豚もチキンもこのピザ釜で仕上げるのだよ。
そりゃあうまいよね。
ああ、通えないけど、通っちゃう。