スープを一口飲んで、目を丸くした。

食べ歩き ,

スープを一口飲んで、目を丸くした。
うま味が静かなのである。
鶏の滋味が出しゃばりすぎてない。脂もきれいに押さえられている。
後からゆっくりと、うま味が膨らんでいく。
アメリカ屈指のモダンベトナミーズ。
全米の食のアカデミー賞といわれるジェームス・ビアード賞で、2014年の極めて優れたレストラン(Outstanding Restaurant)で優勝したレストラン、SLANTED DOORである。
チキンヌードルスープ、つまりフォーガイだね。
ハノイのフォーとは違う、新時代のフォーである。
モダンベトナミーズにありがちな、洒落ているばかりで芯がない味とは違う。
洗練されていながら、フォーのフォーたる骨格は押さえている。
しっとりと鶏の滋味を宿している茹で鶏。
揚げたエシャロットの香りと玉葱。
添えられた香り高いミントにみずみずしいもやし、青唐辛子にライム。
幅広と細麺が選べる麺は、自家製だろう、しなやかで麺の幅が一定ではない。
そしてこのスープの優しさである。
その他、サフランが隠し味に使われたベトナム風オムレツ(中のもやし豚肩肉、海老の質もいい)
「グレープフルーツとヒカマのサラダ」の、紫キャベツ、ヒカマ(大根のような食感の野菜)、グレープフルーツ、人参、砂糖でコーティングしたピーカンナッツの食感のバランス。醤油やライム、ミントを使った酸っぱいドレッシングの味わい。
頼んだ、ビーフィーターとマラスキーノ、オーガニックグレープフルーツ、ライムのカクテルも素晴らしい。
およそ150席は満杯。
なのに料理の運ばれるタイミングの迅速さ。
スマートでフレンドリーなサービス。
それゆえ客単価昼で推定6〜80ドルが、数回転する。
こんな店は日本にはない。
アメリカレストランの底力を見た。

(このミント見たことがない。マウンテンミントか?どなたか知っていたら教えてください。