「葱末肝片」。

食べ歩き ,

熱々のレバーに、歯が優しく入っていった。
その途端、ネギの香りが爆発して、鼻に抜けていく。
レバーの鉄分が追いかけて、優雅にネギの香りと溶け合う。
うっとりとなった。
まるでネギが、レバーの中に潜む品性を愛して、引き出しているような、そんな情趣がある。
大量のネギをネギ油で炒めたソースと的確に火が通された新鮮なレバーが出会ってこそ、生まれる鮮烈である。
これはご飯もいいが、年代物の紹興酒とじっくり楽しみたい。
「葱末肝片」。
1958年の中国名菜譜に記されている料理である。
こんな料理が都心で手軽に味わえるのが、嬉しい。
六本木ヒルズ「老四川 瓢香」にて